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2019.06.05

2019/5/11 朗読企画「こんな夢を見た。」開催報告 ― ツカノマレーベル

 

約一ヶ月前、 2019年5月11日(土)、

東京・神田の神保町ブックセンターにて

ツカノマレーベル主催の朗読企画「こんな夢を見た。」を開催、

なんとか無事に幕を閉じることができました。

 

実はワタクシ、アポロデザイン以外にも

ツカノマレーベルとして活動をさせていただいています。

ひとえに広い心とあたたかい目で見守ってくれている

ボスやみなさんのおかげです。いつもありがとうございます。

(他にも不定期で、よっこら書店というのもやってます)

(なんとロゴはどちらも、大好きな先輩、弊社の森によるものです)

 

福岡が誇る文豪・夢野久作氏の日記にこのような一文があります。

「人の魂を捕ふる力は音が第一、次は言語、次は文、次は色と形なり。」

―夢野久作、1926年(昭和元)年1月13日の日記より

 

ツカノマレーベルでは、音楽と文学を融合させる企画公演を主催しています。

自分でも気が付かないうちに引き込まれ、

時間の感覚も空間の概念も忘れてしまうような体験、

自らもその空間に足を踏み入れ一体となるような空間づくりを目標にしています。

 

 

さて今回の朗読企画「こんな夢を見た。」では

この音・文に焦点を絞り

誰もが参加できる「公募企画」をスタートとして朗読作品を募集。

その中から選ばれた作品を小説家・坂井希久子さんによる朗読、

そして箏曲家・森川浩恵さんによる即興演奏でお楽しみいただきました。

 

坂井さんは和歌山県出身の小説家。

大学生の頃に着物関係のプロジェクトで知り合いました。

毒の中にも愛のある視点がとても魅力的な方で

小説作品にもそういった人間味があふれています。

 

森川さんは私が小学生の頃から既にパワフルな存在感を放っていた

箏曲家、というより音楽家。

ちゃんと知り合ったのはこちらも大学生の頃で、

きっかけは何だったか忘れましたが「あの浩恵ちゃんだ!」と。

 

このお二人、実は本番当日が初対面でした。

が、それを感じさせない息の合わせ方。ありがとうございました。

それぞれのぶれない軸と、柔軟さ、懐の深さ・面倒見の良さに

最初から最後まで救われたなと感じています。

 

 

 

さて、タイトルでお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが

本企画で取り上げたのは「こんな夢を見た。」の書き出しで有名な

夏目漱石『夢十夜』。

 

全10篇からなる短編小説である『夢十夜』は

夏目漱石にしては珍しいと言われる幻想文学テイスト

各短編には題名がなく、「第一夜」から「第十夜」として収録されています。

実は全ての話が「こんな夢を見た」で始まるわけではないんです。

知ってました?



作品の応募条件は

・書き出し指定「こんな夢を見た。」から始まる作品であること

・140〜1,400文字以内のショートショート作品であること

この2点のみ。

 

とはいえ3月より約1ヶ月半という短い応募期間で

果たしてどのくらい応募がくるのか、という不安もなんのその、

なんと合計【665作品】のご応募をいただき

その中から10作品を選定するのに嬉しい悲鳴

アポロデザインの仕事が終わって1週間、夜な夜な全ての作品に目を通しました。

私の黄金週間は「こんな夢を見た」とともにありました。

応募者の夢に没頭するあまり、自分の夢を見るのも忘れるほどでした。

 

 

本企画では「朗読×即興音楽」公演を前提とした作品募集だったこともあり

選考基準のひとつとして「音(声)にして楽しめるかどうか」を意識していました。

また、派生として「文章を音にしたときに、色や匂い、空気感を感じられるか」を考えました。

これはおそらく一般的な文芸作品の公募にはない選考基準だったかと思います。

受賞作品10篇はこちらからお読みいただけます。

 

 

公演当日はこちらの10篇をみなさまに楽しんでいただけるよう

第一夜から第十夜まで並び替えてお届けしました。

こちらでは冒頭文のみご紹介したいと思います。

気になった方は改めて、全文をお楽しみいただけると嬉しいです。

 

 

 

 第一夜

こんな夢をみた。

蜂蜜をしこたま入れて、ミントも浮かべたオレンジペコを、

六階のテラス席で味わっていた私の体は、むくむくとふくれあがり、

まんまるになった頃、ソーダ水の泡みたくパチン、とはじけた。

 

 

 第二夜

こんな夢をみた。

電車に乗っている。

たたんととん たたんととん

 

 

 第三夜

こんな夢を見た。

買ったばかりの飛行機で旅にでると、さすがは最新型とあって、

揺れはなく、ベッドルームも広いので、夜間飛行にはうってつけであり、

飛び続けるのも容易であった。

 

 

 第四夜

こんな夢を見た。

修学旅行でずっと遠い所にある不思議な町にいた。

 

 

 第五夜

こんな夢を見た。

いつか絵本で見た、小さな家とその横に流れる綺麗な川。

どこからともなく、のどかなナレーションが聞こえてくる。

 

 

 第六夜

こんな夢を見た。

生まれた時から住んでいる町に巨大な怪獣が現れて、町の人は逃げ惑うのだ。

 

 

 第七夜

こんな夢を見た。という書き出しで文章を書かねばならない。

 

 

 第八夜

こんな夢をみた。

僕はただ仰向けに寝転んで、

地球と宇宙のすき間に挟まり、体がゆっくりと轢き潰される夢だ。

 

 

 第九夜

こんな夢を見た――と、忘れないうちノートに書きとめたつもりだったのだが、

朝、その文字は激しくのたうっていたため、とても読めたものではなかった。

 

 

 第十夜

こんな夢を見た。笑わないで聞いておくれよ。

羊が話しかけて来たんだ。

 

 

 

また、当日会場では、ご応募いただいたほぼ全ての作品を

冒頭文の展示というかたちでご紹介させていただきました。

 

 

はじめての公募×朗読企画ということもあり

スケジュールや会場での詰めの甘さもありましたが

当日お越しいただいたみなさま、出演者のお二人、

数ヶ月に渡り協力してくれた方々、

今回の会場を快く使用させていただいた神保町ブックセンターと担当者さま

本当にたくさんの方のご協力があり、無事に終えることができたと思います。

 

朗読企画「こんな夢を見た。」は今後も開催場所を

日本全国転々としつつ続けていきたいと思っています。

次回開催は2020年2月、福岡を予定しています。

絶賛準備中ですが、朗読作品の公募開始は10月頃を目標にしています。

 

今回の良かった点・反省点を次回に最大限いかせるよう

引き続き突っ走ってまいりますので、

これからもツカノマレーベルをどうぞよろしくお願い致します。

 

 

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