2019.03.29
媚びない地域の新しいたまり場。 シカシマサイクルは、 今日もほどよくカッチョイイ PART01―気分は“chill out”
リラックスという雑誌を愛読していた。
表紙を開くと“chill out”という単語と共に
ホンマタカシ氏の少しカスレた風合いの海辺の写真が一枚。
Google に尋ねてみたら“chill out”=落ち着く”
なんて 解説してくれるんだろうけど、
自分のなかの“chill out”は、あの写真の空気感がしっくりくる。
前置きが⻑くなってしまったが、
シカシマサイクルってどんなところ?
気心知れた(恥ずかしがらずに語れる)友だちに聞かれたら、
「チルな気分が漂っているところ」と、 答えてしまいたくなる場所だ。
海の中道を抜け、まるで鳥取砂丘のような砂州を走る。
そこまでは、ドライブルート感満載なのだが、
その先に待っているのは、「島」というのがぴったりくる港町。
その島の入り口、志賀海神社へまっすぐ伸びる一本道の
鳥居のすぐそばにあるのが「シカシマサイクル」だ。
まず、業態を説明しておくと、その名の通り
「レンタルサイクル」ができる場所だ。
島をめぐるとぐるっと一周ほぼ一時間。
もともと、サイクリストの練習場だったこともあり
「サイクリストの立ち寄り場」にもなっている。
しかし、シカシマサイクルのサイクルは自転車だけの意味ではない。
実は、循環という意味も兼ねている。
その含んだ意味の通り オープン当初は、
サイクルに特化していたサービスも、
まさしくセルフリノベーションで空間も、業態も、拡張し続けている。
少し前に訪ねたとき、 畳が敷き詰められていた2階の和室は、
いつの間にかお洒落なカフェ空間に。
奥には、都会のちょっとしたシェアオフィスより
カッチョ良いしつらえを備えた働く場も完備されている。
さらに、大家さんが営んでいた
隣のコンビニエンスストアへと場は侵食。
いつの間にか壁はぶち抜かれ、
コンビニも「シカシマサイクル」の運営となっている。
島の遊休不動産を紹介していたり、
ホステルをはじめようとしていたり、
現代版の百姓(百の仕事をかけもつ)という役割が ぴったりなところだ。
主犯格として手がけるのは、 通称“やだもん”こと山崎基康氏。
(写真がめっちゃ爽やか!)
そして、前所属のカラクリワークス時代から、
そのやだもん氏の人柄に惹かれメンバーとして加わる
⻄村星七嬢の二人だ。
もともとの始まりは、海外を旅していたやだもん氏が
志賀島で一人の漁師に出会ったー。
と、物語のはじまりにふさわしいスタート。
しかし、もっぱら本人は、 島にしっかり根付いてる
というタイプではないようだ。
ときには、空間デザイナーとして 遠方の場で大工さながらに働き、
ときには、遠くアメリカのデトロイトで
数ヶ月間の滞在でまちのこれからを学ぶ。
この地で日々コツコツ暮らしを営んでいるわけではなく、
一つの拠点として、自由に動きまわっている感じだ。
相棒の⻄村嬢は、福岡を拠点に働いているが
「移住というより、一度は来てみたかった海外に来ている気分」 と、
こちらも肩に力が入っていない感じが印象的。
カフェやレンタサイクルの仕事もこなしているが、
同時に2階のシェアオフィスで、 これまでの経験を活かした
デザインの仕事もこなしている。
主にルーティンで、カフェやレンタルサイクルを回しているのは、
島の近辺の主婦のパートや大学生のアルバイト。
ちなみに、IT に強い二人の元では、 勤怠管理ひとつとっても
最新のスタイルを導入。 スマホひとつで誰もが
把握できる効率化が図られている。
というわけで、ここで働く人たちは美味しいコーヒーや
こだわりレシピのスイーツをつくるのに加え、
IT のスキルも積極的に身につけてもらうことが必須条件。
さらに、ここ数年のインバウントのゲスト増加に伴い
ちょっとした英語のコミュニケーションも、
当たり前のようにこなしているのが凄い。
すっかりアウトラインが⻑くなってしまったが、
語りたいのはシカシマサイクルの魅力である。