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2019.09.11

一杯の蕎麦の旨さは、いい塩梅にあり!【信州生そば 照月庵】

移転オープン初日、店内は少し離れてしまった前のお店近辺の常連さんたちが、猛暑の中、わざわざ歩いて大勢かけつける!こんな時代に、インスタ映え以外でオープン初日に行列ができる店、「信州生そば照月庵」。はい、その読みは正解です。ズバリ美味しさで愛されている銘店なんですよね。

 

住宅街の静かな一角に移転オープン!

 

2020年に50周年を迎えられる老舗の蕎麦店さんが、なんと、我がアポロシアターの拠点があるBLDG64ビルすぐ裏にやってきてくれたのです。メンバー全員大喜びで毎週「蕎麦ざんまい」を楽しませていただいているのですが・・・。なかでもY氏は、多いときは週に5食も食している!毎日食べても飽きない味の秘密って、何なのかしら!と、店主に味のこだわりを突撃してみました。

 

店内には、前のお店から使われている看板などもちらほら。染み込んだ風情がいい味出してます。

 

 

ーー 一杯の蕎麦、その究極のこだわりは「いい塩梅」

食酢の無かった時代、料理の味付けは「梅」と「塩」を漬けた時にできる梅酢が決め手。この2つが良いバランスで組合わさったときに生まれた言葉が「いい塩梅(あんばい)」。まずは、塩梅の意味するところを伝授してくださった店主小坂さん。照月庵の味のこだわりは、全てこの「塩梅」につながっていました。

 

写真真ん中が店主の小坂さん。スタッフのみなさんの連携もいい塩梅です!

 

塩梅のこだわり一、秘伝の「かえし」と「出汁」

まず、「かえし」の話しから。実は、かえしという言葉に馴染みがなかったのですが、醤油やみりん、砂糖を加えてできる調味料で、そばつゆの元のようなものです。照月庵のかえしは、創業当時から継ぎ足し、継ぎ足しで今に受け継がれています。しかも、たっぷり二ヶ月寝かしてあるそうで、味が熟してとろみも絶品!

一方の「出汁」の方は、店主こだわりの材料を揃えて毎日必ずひいている。この「かえし」と「だし」の組み合わせでつくる蕎麦つゆ。店主の職人技ともいえる絶妙な塩梅が、多くの人の舌をとりこにしているんですね。厨房には大きな3つの壺があり、「ざる用」「汁用」「丼用」とそれぞれ塩梅が変えられています。

 

これがザ・秘伝の「蕎麦つゆ」!見るからに美味しそう!

 

 

特にかえしの分量が多いのが、ざる用。ざる蕎麦での麺の絡みもたまりませんが、個人的に美味しさが際立つと感じているのが、蕎麦湯をいただくくとき。そばつゆを全部飲み干したいが為に、蕎麦湯を継ぎ足してしまうんですよね。

逆に出汁の美味しさが際立つのが、温かい蕎麦をオーダーしたとき。器をまっさらにするまで、全部汁を飲み干してしまいます。

結局、冷たくても温かくても、汁まで飲み干したくなるのが照月庵の蕎麦なんです。

塩梅のこだわり二、季節と産地にこだわる蕎麦粉

汁の次は、麺のいい塩梅。照月庵の蕎麦は、お店の一角に、蕎麦打ちスペースが設けられていて、そこから毎日出来たてがつくられています。その時期に一番美味しい蕎麦粉を店主が見極め、旬の蕎麦粉それぞれに沿った“捏ね”をしているのだそう。8月までは長野県産の蕎麦粉でしたが、9月からは新蕎麦のシーズン到来!緑がかった麺が特徴の北海道産にはじまり、翌年2月までその時の旬の新蕎麦を仕入れられていきます。変わらない美味しさを届けるために、日々、変わりつづける姿勢には、驚かされますよね。

 

特別に蕎麦を捏ねる姿を拝見させていただきました。

 

 

 

そんな蕎麦粉へのこだわりを満喫するなら味わって欲しいのが、十割そばですね。小麦粉などを混ぜず、お湯と水だけで練り上げていく蕎麦粉100%の蕎麦。つなぎが入ってない分、天候にあわせて上手に練らないと乾燥しやすくものなるのだとか。しかし、その分、食感と風味どちらも贅沢な味わいが楽しめます。

 

ものの10分でこんないい具合に!職人の姿に感服。

 

さらに、照月庵の美味しさを満喫したいなら、ぜひ注文して欲しいのが天ざるです。ここで、次のいい塩梅、天ぷらへのこだわりです!

塩梅のこだわり三、サクサクッの塩梅が絶品天ぷら

コレがいいのか、悪いのかは置いておいて……。天ぷらといえば、揚げたてはまずは「サクサクッ」具合を楽しんで、少し時間がたったら、汁やタレでしんなりさせて味わう派です。そんな自分にとって、照月庵と天ぷらは切ってもきれない存在になりつつあります。

 

衣もすごいが、具もすごい。プリップリで大きい海老を使ってます!

 

こだわりの三種をブレンドしてつくった特製の天ぷら油で、美しく衣を纏ってあげられる天ぷらたち。まさにサクサクッというオノマトペにふさわしい食感なのです。そして、先程から幾度もご紹介して参りました蕎麦つゆや出汁との相性がバツグンで、衣に旨さがジュワ~っと広がるんです。

余談ですが、天かすのことをうどん屋さんでは「たぬき」と呼びますが、お蕎麦屋さんでは「カステラ」と言うのだとか。ちょっとツウになった気分です。

 

他にも、鴨南や季節の蕎麦など、オススメいろいろですが……。お店のメニューで厳選ください。

 

そして、最後に、我らにとっていい塩梅なのが、照月庵のほどよい価格設定。ちょっとお洒落なお蕎麦屋さんって、ほんの一口が目が飛び出るほど高い時ありますよね。こちらは、週に5食味わっても、お財布にもやさしい価格の味ばかり。

そんな美味しいのに安いを狙って、実は多く利用されているのが夕方からの一杯飲み!しかも、普段何かとお小遣いに苦戦する働くお父さんたちが、つまみと日本酒(これもこだわりの味多し)と、蕎麦を囲んで同僚たちと楽しく飲んでいる姿がちらほらと。大手門で、蕎麦飲み。いつでもお誘い待ってます。

 

信州生そば 照月庵

〒810-0074 福岡県福岡市中央区大手門3丁目13-7

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