福岡発!最寄りの気になる「ヒト」とか「場」とか。
雑多にまとめる語り場

2019.08.23

難しく考えるな、柔らかく受けてみよう。Qrossー暮らしの実験の場。

ごめんなさい。筆が進みませんでした。

なんと、取材に訪れて半年ほども。

言い訳をあげれば、あれこれ尽きませんが……

ズバリ、消化できていなかったのです。

『Qross』という場のことを。

  

「100年先の暮らしを実験する場所」というコンセプトのもと

2018年の春からはじまった『Qross』は、

天神という実に贅沢な住所をもつ場です。

具体的には、九州最大の商業地から北上すること少々。

歩いていけるし、賑わいもほどほどだし、レトロなビルも残っているし、

ウォーターフロントの開発が進んでない福岡のまちの中では、

都会のエアポケットのような穴場のロケーションなのです。

 

入居しているのはヴィンテージ感たっぷりのビル。

 

そんな絶好の場所にできた、

ちょっと新しくて素敵なシェアハウス!

と、まとめられれば、もっと早く筆も進みましたが……。

実際に足を運んでみてからは、

かなり旧式になっている自分の頭脳では、

「なんだろう?」「どうなんだろう?」と、

処理能力が追いつかなかった訳です。

 

ようこそ!こちらがQrossをいろんな意味で象徴するリビングです。

 

とりあえず明らかな事実だけを語っておくと……

・天神北に建つレトロビルの4階から6階までが『Qross』という場である

・現在30人ぐらいの人たちがこの場の在り方に共感してシェアしている

・一部屋を使っている人もいれば、14畳の部屋を9人ぐらいシェアしていることもある。

・集まってきている人は職業も年齢もバラバラ。赤ちゃんから定年を迎えた大学教授までそこに暮らしの共通点はない。

・利用の仕方もいろいろ。ガッツリ住んでいる人もいれば、多拠点のひとつの人も。昼間ちょっとくる人や、打ち合わせで利用するもいる。

・リビングの壁一面に、能楽堂として使われていたしつらいの名残が象徴的に存在。そこを中心としたリビングとそれに連なるキッチンは共用の場である。

 

むき出しの配管に、玄関のタイル。建物の可愛さも秀逸。

 

お部屋の雰囲気をチラリとのぞきみ。何人かで共有する部屋。思いのほかきれい!

 

確かに、ロケーションとしての魅力は抜群。

こんな便利な場所だから、みんなでシェアしているのね!

と、まとめてしまいたいところですが、

そもそもこの実験的なコミュニティのプロジェクトは、

この物件が決定する前から動きだしていたそう。

 

プロジェクトデザイナーであり、

福岡のガウディこと坂田賢治さんが、

事前にそのアンテナにかかる気になる人に

「100年先の暮らしを実験する場所」についてプレゼンテーション。

それに、共感?期待?いや、とにかく、ワクワクした人が

物件決定前には、ほぼほぼ集まっていたそうです。

 

福岡のガウディと呼ばれる坂田さん。黄色のジャージが!じゃなくて、頭の中が思考力がガウディみたいなんです!

 

にしても、

この都心のエアポケット的な絶妙なロケーション。

例えて言うならニューヨークのSOHOみたいな何か起こりそうな場所。

そこにこれだけの広さのある物件を確保出来たというのが、

『Qross』の底力になっているような気がしてなりません。

 

そんな“物件力”に貢献したであろう人が江頭聖子さん。

猫シェアハウスをはじめ、話題のシェアハウスを手掛けてきた

物件&空間のプロフェッショナル。

そして、『Qross』が実験的な場であることにも、

深く関わっている人物。

 

難しそうなこともヒョイと、楽しそうにやってしまう聖子さん。

 

聖子さんは、2人のお子さんを育てる非婚シングルマザー。

下のお子さんは、生まれてすぐからQross暮らし。

お兄ちゃんは、3歳の頃から

この場で「きいちの学校」なるものを開き

関わる人たちが子育てに関わる実験の主役となっています。

 

まさに、のびのびと子育て。いや、子どもだけじゃなく大人ものびのび。

 

正直、自らの子も、血が繋がっていない子も、

育てたことのない自分には、

どんな子育てがベストなのかは五里霧中なのですが、

世に子育て論はいろいろ。

聖子さん流子育てに、いろんなご意見出てくるかもしれません。

でも、Qrossを訪ねたときに感じるのは、

その場に子どもがいることによる有無を言わせない

圧倒的なにぎやかさです。

子どもはコミュニティにとっても宝なり!?

 

Qrossの住人うめこさん。共益費から、Qrossの家事の一部をうめこさんに発注する仕組みもスマート。

 

子どもも大人も、若者も、垣根がなくふれあっている。

 

『Qross』をシェアする人たちのなかには、

しっかり子育てに関わっている人もいれば、

子どもだろうが大人の距離感で関わる人もいます。

その、絶妙な距離感は、実に実験的です。

 

もう一つ、実験的だと感じちゃったのが、

これだけの人数が関わっているのに、

結構、ルールがないこと。

あれはダメ、これはこの時間まで、ここは禁止。

むしろ、ルールに縛られることに慣れた

マンション暮らしの自分には、

ルールがないことが、かなり冒険的な気分。

 

世代も、所属も違う人たちが集う食卓はかなり新鮮。

 

団らんの食卓の基準って、なんだったっけ?

 

自然発生的にご飯を一緒にすることもあるようですが、

基本は、募金箱への投げ銭性。

暮らし心地よくするには、主体性、自主性に

かなりの部分を委ねられているわけです。

 

おもいやりBOXこと、食事などの寄付を集める投げ銭BOX。中身が見えない高さに置いてあるのが、思いやり感あり!

 

 

最近、ブラジルで建築を学んだ女性が、

自身の建築レクチャーで、ブラジルの公共空間は、

仕切られてないゆるーい塀のようなものがあって

どんな人が使うか、どんなタイミングで使うかによって

柔軟にアレンジされていくと、

その垣根のなさを話してくれましたが、

そう!まさに、Qrossってそんな空気をもっている場なんですよね。

 

共用部の洗濯コーナー。取材中、ずっと洗濯機がまわっていた。

 

 

個人的に心を鷲掴みにされたのは、

大学生の入居者と先述のガウディ坂田氏が、

「結構、本気な口喧嘩をする!」という逸話です。

いい年の大人と、いい年を迎える若者

しかも、そこに血縁という関係はない。

なのに、本気で意見を主張しあって口喧嘩できる!

 

 

そして、それを時間がたてば笑いながら話せる。

羨ましいぞ!そんな、ある意味気を使っているのか、

気を使ってないのかわからないコミュニティ!

 

みんな好き勝手に自分の時間を過ごす。でも、どこかで繋がっている不思議な空気。

 

ところで、なぜ急にスイッチが入ってこの原稿を

書き始めたのか!

それは、アフリカの部族を尋ねるテレビ番組を見てからでした。

ん?なんかこの部族の暮らし・・・、似ている。あの場所に。

そう、100年先を……という未来を見据えるプロジェクトは、

もしかすると、人間の本来もっている何かに近い

プロジェクトなのかもしれないと思ったわけでした。

冒頭にも語っておりますが、取材をしたのは半年も前。

あの場所に変化が!起こってないわけありません。

気になる方は、ぜひご自身で足を運んでみてください。

 

※締めの参考サイト

全くもって個人の感想が主導する文章になりましたので

Qrossの本来の姿をきちんと描いているサイトをご紹介して

〆とさせていただきます。

ふむふむ詳しい!summoジャーナルさんの紹介記事

読んで楽しい!アナバナさんの紹介記事

 

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