2025.06.03
観劇せん?・・・「船乗り込み」を見てきました!
『六月博多座大歌舞伎』に出演する歌舞伎俳優たちの、博多への到着を告げる「船乗り込み」が5月31日、福岡・博多川で行われました。
「船乗り込み」とは?
歌舞伎俳優が江戸や京都から大坂入りをする際に、ご当地到着を船に乗ってお披露目した、江戸時代から行われる伝統行事。
現在では博多川と道頓堀川(大阪)のみで行われています。福岡では博多座開場の1999年6月に初めて行われ、今回が24回目。
いまでは博多の初夏の風物詩として親しまれています。
そんな船乗り込みに今年参加したのは、7年ぶりの博多座出演となる中村勘九郎・中村七之助をはじめ、中村橋之助・中村福之助・中村虎之介・中村鶴松・中村梅花・市川猿弥の総勢8名。みなさん涼しげな浴衣姿で素敵です。
当日の流れは、キャナルシティ博多のサンプラザステージで記念式典▶清流公園にて乗船▶川端ぜんざい広場前で口上(船上)▶下船して鏡天満宮を参拝▶博多座にて式典、というもの。博多川の沿道には約3.5万人のファンが詰めかけたそうです。
提灯や色とりどりの幟(のぼり)を立てた10艘の船に俳優たちが乗船し、紙吹雪が舞う中で船が川を下ります。川端ぜんざい広場前で待っていると、遠くのほうに船が見え、少しずつ少しずつ近づいてくるのですが、その道中でたくさんの人が俳優たちに歓迎を伝えるために手を振って「中村屋!」「澤瀉屋!」と大向うの掛け声をする。俳優たちは笑顔で手を振って応える。そのやりとりがなんだかとても胸を熱くしました。江戸時代の人たちもこうやって盛り上がったんだろうなあ。船にはそれぞれ高島宗一郎福岡市長や、博多券番の芸妓さんたちも乗船していて、とても華やかでしたよ。
雨予報をひっくり返して「最高の船乗り込み日和」と笑顔を見せていた勘九郎さん。今回の『六月博多座大歌舞伎』について「みなさんをワクワクさせる演目ばかり揃えて持ってまいりました。見逃す手はないと思います」とお話しされました。七之助さんは「これほど大勢の方に結婚を祝っていただけるとは思ってもみなかった。このお礼を私は舞台で返したい」と嬉しそうな表情を見せていました。
個人的に印象的だったのは、若手の橋之助さんが「虎之介くんと鶴松と福之助と僕、若手で昼夜に渡って出し物をさせていただきます。お帰りの際にみなさま方の感想がたくさんもらえるよう、がんばりますのでどうぞよろしくお願いします」と意気込む姿。フレッシュな面々の活躍に期待が高まります。
常にひときわ明るくフレンドリーに手を振っていた市川猿弥さんも「中村兄弟と久しぶりに出させてもらいます。とてもおもしろい作品なので、お誘いあわせのうえお越しください!」と呼びかけました。
そんな『六月博多座大歌舞伎』は6月4日(水)に初日を迎えます。個人的には「歌舞伎を一度観てみたいと思ってる」という方には「絶好の機会ですよ!!」とお勧めしたい公演です。その中でも「<昼の部>と<夜の部>どちらがいいかしら」と問われたならば、「まずは<昼の部>から行ってみてはどうでしょうか」と答えます。なぜなら演目のひとつ「福叶神恋噺」は、上方落語「貧乏神」を題材にした新作歌舞伎で、去年「歌舞伎町大歌舞伎」(東京)で初演され好評を受けた作品。とっつきやすいと思うのです。とはいえどちらもオススメですよ。
博多座のサイト(https://www.hakataza.co.jp/lineup/63)もわかりやすいので、ぜひぜひのぞいてみてください。
『六月博多座大歌舞伎』
■演目
<昼の部>
一、双蝶々(ふたつちょうちょう)曲輪(くるわ)日記(にっき) 引窓
二、お祭(まつ)り
三、福(ふく)叶(かなう)神(かみの)恋(こい)噺(ばな)
<夜の部>
一、菅原(すがわら)伝授(でんじゅ)手習(てならい)鑑(かがみ) 道行(みちゆき)詞(ことば)の甘(あまい)替(かい)
二、怪談(かいだん)乳房(ちぶさの)榎(えのき)
■会場 博多座(福岡市博多区下川端町2―1)
■日程 令和7年6月4日(水)初日~26日(木)千穐楽
昼の部11:00開演/夜の部16:00開演 【休演】10日(火)、18日(水)
■料金 A席 16,500円 特B席12,000円 B席 9,000円 C席 5,500円
■お問合せ 博多座電話予約センター 092-263-5555(10:00~17:00)
https://www.hakataza.co.jp/lineup/63