2020.11.30
月刊コマ送り19「記事を書く」
書きたいことが何もない。
という一文のみが脳内に鎮座していて途方に暮れている。
今月半ばからずっと「何を書こう」と考えつづけて、ついに月末をむかえてしまった。
昨夜にいたっては、夢の中で必死に原稿を書いていた。
もともと現実に沿った夢を見がちなこともあって、月の半分は夢の中でも仕事をしている。それならその分も成長したいところだが、悲しきかな人生はそんなに甘くないようだ。
夢とはいえせっかく書いた原稿の内容を、ひとかけらも思い出すことができない。
そういえば昔読んだ漫画に同じような描写があった。主人公が夢の中で手紙だか作文だかを書いている。現実ではまったく筆がすすまないのに、夢の中だと自分でも驚くほどスラスラと筆が滑るように書きすすめることができる。しかも自画自賛してしまうほど素晴らしい文章。なのに目が覚めると書いた内容をすっかり忘れている。
それで、ひみつ道具か魔法かをつかって夢の中で書いたものを現実に持ってくるのである。もちろんオチは必死で持ち帰った紙に「なんかいみわからん文字がただ並んでいるだけ」だったはずだ。
夢の中で仕事をしたときに一番切ないのは、あれだけ進んだはずのプロジェクトが現実ではすこしも進んでいないことだ。なまじリアルな夢だから「えっ、これ終わらせた記憶があるんだけど…?」となることも多々ある。夢の記憶と現実の記憶が混ざりあって何が事実かわからなくなることは、学生時代からよくあった。
ではこの文章を書いている今、私はどちらにいるんだろうか。
あちらで書いた文章がこちらで解読不能ならば、こちらで書いた文章もあちらでは読めないのか。もしかするとあちらではこちらの文章を、一見して意味はわからなくとも解読することができるかもしれない。昨夜、夢の中で原稿を書いたと思っていたが、そもそもその認識が間違っていることはないだろうか。私は今、夢を見ている?
なんにせよ、今月中に記事を投稿できればどちらでもいい。