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2020.09.30

月刊コマ送り17「日記」

 

どんな姿勢で寝ても、目が覚めるときはたいていうつぶせになっている。

 

寝起きで視野の狭い眼前に広がるひんやりさらさらシーツに頬をこすりつけながら、枕元にあるはずのスマホを半ば叩きつけるようにして探し手繰り寄せた。

スマホの液晶はついさっきまで眠っていた目には眩しく、さらに細めたまぶたの隙間から見えた時間は、始業時刻の30分前。それは直後に目を見開いてもなにも変わらなかった。スマホから視線をそらす。少し前まではまだ見慣れなかった窓も壁も天井も、いつのまにかおなじみの景色になっている。

 

もはや冷静である。

 

そのままの姿勢で外の物音に耳を澄ます。マンションの前の道路を通る車の音、人の声、上の階から聞こえる窓を開ける音、裏のマンションにある立派な庭の木で遊ぶ鳥の声。すりガラスなのを良いことにまだカーテンをつけていない南向きの窓から差し込む光に背をむけて寝ていたことに気づいた。今日の天気は、晴れだ。自転車をとばせば間に合う。

布団のほうがこちらに吸い付いているんじゃないかと思うくらい重い身体を起こし、今度はしっかり目を開いて室内を眺めても、やっぱり視界はぼんやりしている。まずは顔を洗って、コンタクトレンズをつけなくてはいけない。世界にフォーカスを。歯をみがいて、寝癖と格闘しつつ、着替えてリュックを背負い、電気を消して部屋を出る。

部屋を出る瞬間、いまだに、というより最早しっかり部屋の一部と化し違和感すら忘れていたダンボールが目に留まる。

 

新しい部屋に引っ越してきて、今日でちょうど1ヶ月だ。

 

玄関の戸締まりをして1階まで駆け下り自転車に飛び乗った。寝癖さえなければもっと早く出発できたな、と思いながら公園を通り抜け会社にむかう。

水面に反射する朝の光や木々を揺らす風、空に浮かぶ秋の雲の流れを感じている場合でもなく、時折むかい風に吹き飛ばされそうな帽子を片手でおさえながら、ママチャリを漕ぐ足に力を入れた。

 

始業時間前、なんだかんだで一番に出社し、猫草の急成長に驚きながら、窓を開けて換気などをした。

 

 

以上、今朝の日記です。
あと3ヶ月で今年が終わる。

 

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