2019.09.07
一頁もめくってないけど名作の予感しかない!「みんなが知らない糸島のカフェ サンセットの話」発売
キョンキョンこと小泉今日子が、昔、雑誌のインタビューに
実は、好きな本は「サリンジャーのライ麦畑でつかまえて」って
書いちゃったけど、実は読んだことがないんです!
って応えていて、めっちゃ格好いい!!こんな告白してみたい。
と、思っていました。でも、今日まさにその日を迎えることができました。
一冊の本が完成しました。
「みんなが知らない糸島のカフェ サンセットの話」
通称、いや略して“みん知ら”。
著者は、我らが師匠であり、
福岡を代表するコピーライターの手島裕司氏。
なぜ、私はまだこの本を一頁も読んでいないのに、
名作の予感しかないのか?
それは、この本ができるまでの裏話にあります。
プロデューサーであり編集者の弓削聞平さんと
話しているときのことでした。
サンセットの話をまとめたい。その文章をまとめるにあたって
適切な人はいないだろうか……。
その瞬間、私はサロン・ド・ハレムのことが頭によぎりました。
サロン・ド・ハレムとは、手島裕司氏が今まさに60才を機に
あらたにつくろうとしている会社のことでした。
あれこれ、あれこれ事情があって、私はその会社の登記のことから、
事務所を探す、家具を手配する、引っ越しをする……
と、気づけば自分の会社のように尽力していました。
そんな関係もあり、新しい会社には、新しい仕事が必要。
弓削さんに進んで「手島さん、長い文章書いてもすごいんです!」と、
気づけば営業してしまっていたのです。
しかし、数ヶ月。私はちょっとした衝撃を受けることになります。
その日も、経理や事務や掃除や、頼まれてもいないのにハレムに
足を運んでいろいろとやっている時のことでした。
ご機嫌ななめにパソコンに向かう手島氏。
ちょうど「みん知ら」の取材と原稿まとめが山場を迎え
マックスでイライラ。
床を揺らすような貧乏ゆすりと、ため息にまじって
「チッ!お前のせいでめっちゃ大変」
そう、八つ当たり!を受けてしまったのです。
しかし、それだけでは終わりませんでした。
それから一ヶ月くらいたった頃でしょうか?
お酒の席で今度は、とってもご機嫌な手島さんに遭遇するのです。
「実は、今サンセットの本を書いているんだけどさぁー。
それが、とっても楽しいんだよー」
と、まるでこの仕事のことを
全く知らない人に話すように語ってくれました。
この時に、私は確信しました。
これは、名作に違いない!
その安心もあってか、本は手元に届いているものの
まだ一頁もめくって読めていません。
そんな私も名作と確信する「みん知ら」。
サロン・ド・ハレム共同取締役の岡田賢さんが
素敵な書評を記されています。
その引用にて、「みん知ら」の具体的な素晴らしさをご紹介させてください。
私的書評/インタビュー集という、群像劇。
糸島の、福岡の生ける伝説「サンセット」本書は、カフェとライブの歴史に関わった人々のインタビュー集である。全員の言葉が昨日の出来事を語るように生々しく躍動しているのは、それが単なる「いい思い出」ではなく、未だに瘡蓋のできないドクドクした熱い記憶だからか。本文中、サンセットは働く人にとって更生施設だったと自虐的に語られてもいるが、その文脈で言えばこのインタビューは前例のないカルチャーの大波を起こした共犯者達の「証言集」でもある。また、本作でサーフィンと野外フェスは重要なファクトではあるが、読む時にその経験値はマストではない。ある年齢に達した多くの大人が経験した若気の至り、心の原風景ともシンクロするからだ。その場にいたわけでもないのにいたような気分にさせてくれる。そして読了し全てのエピソードが積み重なった時、本書はインタビュー集から「物語」に変わる。一見バラバラの証言がつながり「サンセットストーリー」として脳内変換される。個人的には場面やセリフが勝手に浮かんできてワクワクした。(読書スキルが低い私は、ある人のパートを読みながら別の名前が出る度「この人どんな人やったっけ?」と戻っては読み返した)関係者のインタビューを紡ぎ重厚なドラマを構築する宮部みゆきさんの小説「理由」を思い出す読後感。と言ったら褒めすぎだろうか。褒めすぎだな。とにもかくにも読んでもらえばわかるのだが。
(余談)
書き手は無類の音楽好き。観るのも演るのも大好き。誘われればどんなジャンルのライブやフェスや音楽イベントにも顔を出す。赤字こいてもライブイベントを主催する。ニッチなミュージシャンにも異常に詳しい。暇さえあれば事務所で楽器をいじる。そんな人間が取材したから、多くの魅力的な言霊が得られたのかもしれない。と言ったら過大評価だろうか。多分過大評価だな。
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